モヤモヤ病患者の海外旅行の注意事項
モヤモヤ病と海外旅行
モヤモヤ病を抱えている方でも、約7割の方は症状が安定して、日常生活にも制限がありません。海外旅行へ行くことも可能です。運動障害などの後遺障害が残っている方でも、バリアフリーツアーを行っている旅行会社もあるので、海外旅行を諦める必要は無いと思います。
海外旅行へ行くときは事前に主治医に相談し、次のことにも気をつけてください。
手術をした場合、海外旅行は術後1年ほど経ってからに。
モヤモヤ病の手術をした後、1年ほどは一過性虚血発作が頻繁に起こることがあります。1年を経過する頃には、その発作も収まるので、海外旅行へ行くときは、手術後1年経過後以降にしましょう。
薬剤証明書や診断書を携行する
旅行へ行くときも普段服用してくる処方薬を持っていく必要がありますが、処方薬を持って海外へ行くとき、入国審査でトラブルになる可能性もあります(日本では合法な薬であっても、海外では違法な薬があるため)。
そのようなトラブルを避けるために、旅行の前に必ず「英文薬剤証明書」を主治医に発行してもらいましょう。薬剤証明書があれば、治療のための適切な薬であることが証明されるので、トラブルを避けられます。
また、薬剤証明書と一緒に、医師の診断書を併せて持っていると心強いですね。渡航先で体調が悪化したときに、診断書があれば適切な処置をして貰えるでしょう。
薬は多めに持っていく
海外では、どのようなトラブルがあるかわかりません。航空機のトラブルで、予定よりも長く滞在せざるをえないことも考えられます。そのようなトラブルに備えて薬は多めに持って行きましょう。
海外旅行傷害保険には必ず加入しておく
渡航先での体調悪化等、万が一に備えて海外旅行保険の加入しておきましょう。海外では健康保険が効かないため、病院にかかったときの治療費はかなり高額になります。
ただ、モヤモヤ病などの持病がある場合、健康状態の告知に引っかかり海外旅行保険に加入できないことや、持病については補償対象外とされてしまうケースがあります(治療をしていなくても、経過観察のために定期的に通院していれば告知対象となるのでご注意ください)。
国内の保険会社では東京海上日動火災保険とAIG保険会社の2社が、持病も補償される海外旅行傷害保険を販売しています(旅行期間が31日まで)。
東京海上日動火災保険では最寄りの保険代理店を探して加入することになり、AIG保険会社ではインターネットからも加入することが可能です。
他の保険会社でも保険代理店などの窓口で相談すれば加入できるかもしれませんので、詳しくは各保険会社に問い合わせてみましょう。
窓口での加入の場合は加入審査に時間がかかったり、申し込みをしても加入を断られることもあるので、保険の手続きは余裕をもって早めに済ませておきましょう。
そもそもモヤモヤ病とはどんな疾患なのか?
モヤモヤ病は、脳に栄養を送る太い血管が、何らかの原因により詰まってしまい、血流不足を補うために周りに細い血管が発達する病気です。発達した細い血管が、モヤモヤしたように見えることから、この病名がつきました。
歌手の徳永英明さんが、モヤモヤ病の手術をされたことで話題になりましたね。
この病気は、欧米人に少なくアジア系人種に多いです。発症のピークは、5〜10歳と30〜50歳ですが、昨今、子供の発症は減少傾向で、大人の発症は増加傾向です。大人の発症数は、脳ドックにより自覚症状がないモヤモヤ病も見つかっているため、増加していると考えられます。また、家族間発症が約10%の確率で見られます。
モヤモヤ病の症状
症状は、患者が子供の場合、繰り返す頭痛・失神発作・脱力発作・けいれん発作などがあります。かけっこや楽器の演奏、熱い食べ物をふーふーとしたことなどがきっかけで、このような症状が起こることが多いです。
かけっこなどで過呼吸を起こすと、血液成分のバランスが崩れ、モヤモヤした血管が細くなり血流不足になります。そのことにより、脳梗塞のような症状を引き起こすのです(このような症状を「虚血」といいます。)。
患者が大人の場合は、約半数が脳出血を起こします。モヤモヤした血管は、血管の壁が薄いので切れやすいのです。残りの半数は、子供と同様、虚血の症状です。
モヤモヤ病の治療方法
治療法は、血液の流れをスムーズにする抗血小板剤を用いる薬物療法という、手術があります。手術は、不足した血流を補うために行うもので、モヤモヤ病を完治させるものではありません。脳出血を起こしたときは、緊急手術が必要になります。
脳の血管の詰まりは、全く進行しない方もいれば、徐々に進行する方もいます。ですから、手術をした後も、定期的な検査が必要です。
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最終更新日:2024/09/11