難病患者の海外旅行ガイド

難病・特定疾患の方へ。海外旅行の前にご覧ください。

好酸球性副鼻腔炎患者の海外旅行の注意事項

好酸球性副鼻腔炎と海外旅行

海外旅行

好酸球性副鼻腔炎の方が、海外旅行へ行くときは、事前に主治医に相談し、次のことに気をつけて旅行を楽しみましょう。

航空機内での乾燥対策

機内の湿度は低く保たれており、乾燥しやすい環境です。
乾燥すると喉や鼻がダメージを受け、着陸後に風邪を引きやすくなるため、乾燥対策としてこまめに水分補給することが大切です。

また、マスクをすると鼻や喉の乾燥を防ぐことができます。

現地で風邪をひかないように注意

好酸球性副鼻腔炎は、風邪を引くことで悪化することがあるため、風邪を引かないように注意が必要です。

バランスのいい食事や十分な睡眠を取るなど、規則正しい生活を心がけ、手洗いうがいを欠かさないようにしましょう。
乾燥した場所や人混みを避け、このような場所に行く時はマスクの着用も有効な対策です。

体温調節しやすいよう、脱いだり着たりしやすい服装を選ぶといいでしょう。
もし旅行先で風邪を引いてしまったら、無理をせずゆっくり休養することも大切です。

お酒は控えめにしましょう

アルコールは血管を拡張させる作用があるため、お酒を飲むことで鼻粘膜が膨れて鼻詰まりが起こりやすくなります。
お酒の量は控えめにし、連日の飲酒も避けたほうがいいでしょう。

薬剤証明書を携行する

点鼻薬や内服薬の処方を受けている人は、念のため渡航前に英文の薬剤証明書を取得して、手荷物に入れて携行しましょう。
自分で使用する薬は航空機内に持ち込むことが認められていますが、保安検査で確認された時に英文か現地語の薬剤証明書があると安心です。

海外旅行傷害保険には必ず加入しておく

海外での急な体調悪化など、予期せぬトラブルに備えて海外旅行傷害保険に加入しておきましょう。
海外では医療費が全額自己負担となるため、保険に加入していないと高額な請求を受けることになります

ただし、好酸球性副鼻腔炎などの持病がある人は、海外旅行傷害保険に加入できなかったり、持病が補償対象外となってしまったりすることがあります。

国内の保険会社では、東京海上日動火災保険とAIG損害保険の2社が、持病も補償される海外旅行傷害保険を販売しています(旅行期間31日までが対象)。
東京海上日動火災保険は最寄りの保険代理店で加入手続きができ、AIG損害保険では保険代理店のほかインターネットでも加入することが可能です。

他の保険会社でも保険代理店などの窓口で加入できる可能性もありますので、各保険会社に問い合わせてみるといいでしょう。
窓口での加入は手続きに時間がかかったり、加入を断られてしまったりする可能性もありますので、渡航前に余裕をもって手続きしておくことが大切です。

そもそも好酸球性副鼻腔炎とはどんな疾患なのか?

診察風景

好酸球性副鼻腔炎は慢性副鼻腔炎のひとつで、日本における患者数は約2万人です。
20歳以上の成人に発症しやすく、アレルギーや風邪をきっかけに発症することがあります。

鼻茸(鼻ポリープ)ができることが特徴で、一般的な慢性副鼻腔炎との違いは、ポリープや鼻粘膜に好酸球が浸潤していることです。

好酸球性副鼻腔炎の症状

好酸球性副鼻腔炎の主な症状は、鼻水、鼻づまり、嗅覚の低下などです。
風邪や細菌感染によってポリープが大きくなることがあり、再発しやすい難治性の疾患です。

好酸球性副鼻腔炎の患者さんは、気管支喘息発作や好酸球性中耳炎を合併することがあります。

好酸球性副鼻腔炎の治療方法

好酸球性副鼻腔炎は完治が難しいため、治療と生活習慣の両面で症状をコントロールすることが大切です。
軽症~中等症では抗アレルギー薬、点鼻ステロイド噴霧薬などが用いられます。

ステロイドは有効な治療法とされていますが、副作用の問題から長期間の服用ができないため、重症例や再発を繰り返している場合は手術が行われます。
症状を悪化させないためにも、風邪の予防や鼻洗浄の継続など患者自身の規則正しい生活習慣も重要です。

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公開日:
最終更新日:2024/08/16